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植物管理費は上がり続けるか? [エクステリアプランナーの戯言Ⅱ]

集合住宅団地における植物管理のあり方について
一UR 賃貸住宅における検討結果を事例として一
http://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20170801174255.pdf?id=ART0009397376

上記リンクは2009年2月の造園技術報告集に掲載されたものです。
この報告集は日本造園学会で発行されています。

表-2の「植物管理に要する費用の推移」
をご覧ください。非常に興味深いです。
芝生管理の費用の推移と比べ、樹木管理は上がり続けます。

植物管理費は上がるのが一般的です。樹木はコントロールしないと大きくなり続けます。

しかし、集合住宅の管理で予算の削減とともに、費用が下がることがあります。
どうしてそんなことが出来るのか。

先ほど植物管理費は上がるのが一般的と書きました。

なぜかと言うと、木々が大きく育つとそれに合わせて剪定の際、必要なはしごが大きくなり、重機のサイズも大きくなります。木を剪定すれば、大きく育った分だけ、ごみとなる枝葉の量も増えます。
これが一般的です。どちらかと言えば、緩やかな上昇です。※1

これとは別に植物の管理を厳しくすることで、横ばいにする管理があります。高さや大きさを昨年と同じくらいまで切ります。緑量(枝葉のボリューム)を維持します。刈込剪定ではなく、枝抜きを行います。管理対象となるすべての樹木にベストな規格を決めます。きめ細やかな管理になりますので、当初費用は嵩みます。そしてそれが続きます。※2

そして最後に下がるパターンです。
これは、下がって見えるだけです。剪定は行いますが、ボリュームは増加します。昨年より少し刈込を甘くします。枝抜きも少なくします。なるべく短時間で、たくさんの木を剪定(=触れる)出来る、バリカンを使った刈込剪定が多くなります。そして、こちらの方法であれば、樹木の知識が少なくても木が枯れることが少ないため、他の職種の方でも剪定が行えます。※3

この3つのパターンで、5年後、10年後を考えてみると、大変なことがわかります。
※1 では、樹木がどんどん大きくなります。費用も少しずつ増えます。居住されている方はだんだん年を取り、管理費が負担になってきます。大きくなるので、隣同士の木がぶつかるくらいになったり、建物の壁面に擦れたりする場所が増えます。出来れば、間引きを行うことや、強剪定を行うよう勧められます。が、これらは追加管理費となります。

※2 では、樹木も大きくなりにくく、費用もほぼ横ばいですが、管理費が他の管理費(清掃費やメンテナンスなど)と比べ、価格が変わらないもしくは人件費の見直しでアップするので、予算削減などの際、植栽管理の担当者は非常に立場が辛いです。嫌味を言われるくらいで済めばいいですが、横ばいを維持することが非常に難しいです。要は大きな盆栽を育てていると思ってもらえればいいのですが、身内(居住者)が一番の敵になります。しかし、こちらが一番予算が取りやすく、立てやすい。

※3 は、個々の年度の担当者には全貌が把握しきれないため、一番状況が厳しいです。
気が付いた時には遅くなるパターンが多く、管理費が安いことをうたっている分譲集合住宅ではこの枠に来てしまう可能性が非常に高いです。毎年のように管理費を下げることで、植物のことを知らない担当者は剪定作業を行うと、どのような状態になるのが最適なのかの判断が付かず、そのため、鬱蒼とした植栽地が現れます。落枝や倒木で怪我をしないかと、ハラハラするか、思い切ってバッサリ切ることもあります。が、そのころには、その樹木らしい樹形を維持することが適わず、また安かろう良かろうで判断が後手に回ることも多いので、高木の幹が腐朽し倒れると困るから伐採しましょうなど、業者から持ちかけられることも。他の選択肢が無くなるまで決断を放置されるため、急に費用が必要となることも多く、また、積立金が不足していることも多々あり、まとめて作業を行うことが出来ないので、数年に渡り数本ずつ高額な伐採を行うことになったりします。

そして※3のパターンが一番多い。。。

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